Crush on you!

「リアーネ」
 名前を呼んで、そっと肩を引き寄せる。青の瞳が小さく揺れた。
「……ぁ、アルフレド」
 戸惑いがちに呼ばれたが、遠慮する理由はない。久々の休日で、自室に二人きりなのだ。期待を込めてじっと見つめていれば、リアーネはおずおずと身を寄せてきた。ゆっくりと、瞼が閉じられる。
(……可愛いなあ、本当に)
 髪をそっと撫でれば、小さく肩が跳ねた。――だがそれでも、彼女は無防備に俺に身を委ねている。透き通るように白い肌はうっすらと色づいていて、心臓を鷲掴みされたような心地になった。
(あぁもう、かわいいな……!)
 つい肩を抱く腕に力がこもった。本当にこの恋人はいつまでも初心で、律儀なほどいじらしい反応をしてくれる。……その動揺がこちらにも移って、緊張してしまうぐらいだ。それがばれないように、ゆっくりとやわらかな頬に手を添えた。
 リアーネは目を伏せ、静かに待っている。その表情は、彼女の顔を見慣れた自分でさえ息を呑んでしまうほど美しい。見えなくなるのが惜しくて、傷つけるのが怖くて、動けなくなるぐらいだ。
「……アルフレド?」
「あっ」
 何秒――いや何分経ったのか。ぱちり、と彼女の目が開いた。少し棘のある声が、俺を呼ぶ。
「私、キスしてくれるのだと思っていたのですが」
「あ、いや、俺もそのつもりだったんだが……悪い」
「……もう、意地悪しないで下さい」
 リアーネは不機嫌そうに、つんと唇を尖らせる。だが軽くそっぽを向きつつも、依然大人しく俺の腕の中にいてくれた。
(……きっと、リアーネにはわからないんだろうな)
 本当に好きな相手に触れることを許されていて、そうされることを同じように望んでくれている。それがどれだけ嬉しくて、幸せで、……苦しいのか。今だって胸が痛くてたまらなくて、息が止まってしまいそうなのだ。
「悪かったよ、本当に」
「……本当ですか?」
「ああ。だから、キスさせて」
 ぎゅっと抱きしめなおして顔を寄せれば、再びリアーネの頬が淡く色づく。その瞼が閉じられた瞬間、そっと唇を重ねた。
「ん……」
 軽く触れるだけの口づけを、何度も重ねる。その度に震える彼女がかわいくて愛しくて、噛みつきたくなるのをぐっと堪える。
 もっと、と望まない訳では無い。だがそれ以上にリアーネを大事にしたかった。せめて彼女にだけは、優しくて頼れる恋人でありたい。
「リアーネ」
「……っ、はい?」
「好きだ。……愛してる」
 まっすぐ見つめて告げれば、リアーネは一瞬呼吸を止めた。潤んだ青の瞳が零れそうなほど、目が瞠られる。
「……えっ、ぁ、そんな急に――ん、ぅ」
 動揺からか震える唇は、まともに言葉を紡げないらしい。――今は本当に、それで十分だ。唇を再び奪って、戯れを再開させた。